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 「インターナショナル・トロンボーン・アンサンブル」は、トロンボーンと音楽を学ぶために世界各地からオランダ・ロッテルダム音楽院の名門・トロンボーン・クラスに集まり、在学中から継続的にともに演奏してきたメンバーからなっています。
 個人レッスンとは別に設けられた毎週水曜日のトロンボーン・アンサンブルの厳しいリハーサルにおいて、ロッテルダム音楽院トロンボーン・クラスの教授陣~ジョージ・ヴィーゲル、ピエール・フォルダース、ユルゲン・ファン・ライエン、ベン・ファン・ダイク~の指導のもと、メンバーたちはトロンボーン奏者として不可欠なアンサンブルでの演奏方法や心得を学び、独特のサウンドを確立してきました。
 オランダ国内での数々のコンサートを行う傍ら、このジャンルのレパートリーを発掘・拡大し、音楽的・技術的な可能性を模索し、またグループとしての組織力を育んできました。

インターナショナル・トロンボーン・フェスティヴァル(ITF)2005での招待演奏の直後(2005年5月25日、 ロヨラ大学、ニュー・オーリンズ、アメリカ合衆国)





ITF2005招待演奏より
パッサカリア・ハ短調(J.S.バッハ)のクライマックス!!


  活動を通じてメンバーのモティヴェーションは上がり、2005年には世界最大のトロンボーン組織・インターナショナル・トロンボーン・アソシエーションが主催するエモリー・レミントン・トロンボーン・クワイヤー・コンペティション2005に応募しました。世界各地からの他の強豪エントリーをおさえて優勝し、同年5月にアメリカ合衆国のニュー・オーリンズで開催されたインターナショナル・トロンボーン・フェスティヴァルにて招待演奏を行いました。


  アンサンブルとしての活動の場は、ロッテルダム市の中心にそびえる聖ローレンス大教会の日曜日のミサでの演奏に始まり、アムステルダム・コンセルトヘボウをはじめとするオランダ国内各地のコンサート・ホールでの単独コンサート、音楽祭などのゲスト出演、クリスマス関係のイベント、音楽院内のイベントでの演奏など、多岐に渡ります。
 大・中・小とヴァリエーションに富んだ編成に、ソロの楽曲を加え、オルガン、電子楽器、他の金管楽器との演奏を交えて、トロンボーンを使って可能なコンサート・プログラムの可能性を拡大してきました。その活発な活動と演奏レベルの高さは周囲の作曲家たちの創作意欲を刺激し、トロンボーンの特徴を用いた多くの作品が生まれました。



ロッテルダム郊外にある町・ヘーンフリートでの野外コンサート
(2006年6月10日)



“25 Trombones & Mecanique Vivante” フランス・リヨン音楽院の教授ミシェル・ベッケ氏のもとで学んだ2人のトロンボニストがサイレンのサウンドを使って発明した不思議な楽器で演奏活動を行っているユニット、メカニック・ヴィヴァンテと、ニュー・トロンボーン・コレクティヴとITE合わせて25人のトロンボーンとの競演。オランダ北部の島・TerschellingテルスヘリングでのOerol Festivalウーロル・フェスティヴァルで、3万人を超える観衆を前にパフォーマンス。(2005年6月18日)


 
その後、メンバーの多くは次々に音楽院を卒業し、それぞれプロのトロンボーン奏者として、名門・コンセルトヘボウ・オーケストラ、ロッテルダム・フィルハーモニック、オランダ放送フィルハーモニック、ホランド・シンフォニア、ブラバント・オーケストラなどのオランダの主要なオーケストラ、オランダ以外のヨーロッパ各地のオーケストラ、日本の吹奏楽界でもよく知られているオランダ王国海軍軍楽隊、ミュージカル等、様々な音楽シーンで活動を始めています。
 また、世界各地のソロやアンサンブルの主要な国際コンクールの場で数々の優勝・入賞を果たしてきています。


 
メンバー同士の深い交流と活動は、オーケストラやアンサンブルなどいろいろな場所で頻繁に一緒に演奏する形で続いています。主な催しとしては、2006年秋に初のCD“6.35“のレコーディングで、このアンサンブルのために書かれた曲を含む彼らのレパートリーを収録し、その多様な可能性を表しました。






~仲間がくれた出会いの機会~

  今回の日本ツアーは、メンバーのひとりであった日本人バストロンボーン奏者の鈴木寛徳が2007年6月1日に急逝したことをきっかけに、2006年秋に日本に本帰国して活動を始めていた彼が成し遂げたかった夢の一部 ―このアンサンブルを日本に招待し、彼や私たちが取り組んできたこと、特に私たちがどのようにして協調し演奏するのかを人々に伝えて、日本の音楽教育と演奏の両方のシーンの発展に役立てることができたら―を代わりに少しでも達成しに行こうという形で、多くの方々のご要望とご尽力のもと、実現の運びとなりました。


  今回のツアーで日本各地の多くの皆さんと時間を共にし、トロンボーン音楽の新しいすばらしさやおもしろさを探求、発見、再確認していくとともに、これが日本とオランダ・ヨーロッパの新しい国際的な親交の輪が広がるきっかけになることを切に願っています。



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